私のかんそうき

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「ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男」を見る。

ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男」(2014)を見る。

ジェームス・ブラウン(以下JB)の伝記映画。
映画冒頭いきなり何かのセミナーに乱入し、クソの話をしてから銃を発砲するJB。ファンキーだ。
次にベトナム戦争の戦地へ慰問に行き、敵に飛行機が撃たれ墜落しかけても全く動じずコンサートの曲順を考えるJB。かっこいい。
映画はこのままかっこいいJBづくしで行くのかと思ったら、暗く貧しい幼年期の話になり、泥棒で刑務所へ行く青年期の話になり、そこから這い上がって成功していくという割とよくあるストーリーになっていった。
意外と計算高く、ビジネスセンスもあり、バンドのリーダーとしてメンバーをビシっと仕切る、かなりしっかりした人物としてJBは描かれている。
また黒人差別にも高い問題意識を持っているが、キング牧師暗殺事件に対しても感情的にならずに冷静さを保つなど、映画を見る限りJBはかなり理性的な人物だったようだ。
個人的にはJBは映画冒頭のようなハチャメチャなイメージだったので、音楽ビジネスを冷静に捉え、着々と成り上がる賢いJBというのは意外といえば意外だった。
まあ「Ray/レイ」でもレイ・チャールズがかなり賢く描かれていたので、成功したミュージシャンが戦略的というのはそこまで意外というわけでなかったのだけどね。

この映画はJBの滾るソウルが感じられるいい映画なんだけど、なんとなくJBが美化されすぎているような印象も持った。
JBの存在感が大きすぎるのか、正面から対等にぶつかるような人もあんまりいないし、JBは常に怒っているんだけど、ほぼ自分に向けられた怒りなのでそこまで人を傷つけない。こういう描き方は実像にどれくらい近いのかなあ。この映画の主人公としてのJBは戦いそして勝利する男で、わかりやすいキャラクターではある。個人的にはもうちょっとアホなことをするJBを見たかったところだが、客が引くぐらいのことをしていそうなのでこういう描き方で良かったのかもしれない。

後半カーチェイスがあって、アメリカの警察にJBが追われて発砲されるシーンがあるのだが、警察はJBと知っていて発砲したのだろうか、とちょっと疑問に思ってしまった。JBは銃を持った犯罪者で、警察が発砲するのも当然の状況ではあるが、JBですよ? JBと知ってたら撃つ? ちなみに発砲したのは映画では白人警官で、これはどれくらいリアルなシーンだったのだろうと思ってしまった。自分だったらちょっと撃てないなあ。

この映画ではリトル・リチャードとJBが邂逅するシーンが良かった。これは実際にあった話なのか、ちょっと出来過ぎてる感じはするけど、スターがスターを認め合うシーンには何故かわからないけどほっこりした。リトル・リチャードはオカマ口調だったし。

JBについては普通の知識があるぐらいで曲をしっかり聞いたことはないが、この映画では名曲をたくさん聞くことが出来た。サントラ買うかな・・・
JBの作ったソウル、ファンクの世界がめぐりめぐって日本の岡村靖幸へとつながっていると思うとJBの偉大さを感じざるを得ない。自分は岡村靖幸ファンなのでJBのような伝記映画が作られてほしいが、それは中盤が別な映画になりそうなので大変そうな気がする・・・とよくわからないことを書いて感想は終わり。