私のかんそうき

感想記録ブログ

「The Last of Us」の感想

The Last of Us」(PS3 2013年)の感想

PS+でディスカウント販売していたので購入。名作との評価は聞いていたが、何か大作っぽくてしんどそうな感じがしてこれまでスルー・・・結果的には評価通りの名作で面白かった。思っていたよりはそこまで大作というわけではなく、どちらかと言えばライトなゲームだろうか。

難易度は初級でプレイ。序盤はテンポが悪く感じた。先に早く進みたいのに探索や戦闘などの障害物が多く、こちらの操作も慣れていないためうまく進めずイライラ。
アイテムをうまく使って進むように作られたゲームなのだが、アイテムが有限ということもあり、使うのを惜しんで無理に格闘戦をしたりと変なプレイをしてしまい、序盤は面白さが全然感じられなかった。
中盤になるとコツが掴めてくるので、ゲームをスムーズに進めることが出来て楽しくなる。クリアした後の2週目になると、あんなにつらかった序盤がスイスイ進んで面白い。このプレイ印象の違いには結構驚いた。ゲームはやはりテンポか。

戦闘はほとんど一対多のシチュエーション。敵に気づかれて一斉に襲いかかられるとやられてしまうので、物陰に隠れて奇襲で一人ずつ倒すのが基本となる。ステルス戦は楽しいのだが、貴重品のナイフを温存する必要があり、首絞めばっかり何回も見せられることになるのでちょっと飽きてしまうかも・・・
もちろん戦闘はそればかりではなく、中盤になると人間との銃撃戦の他にスナイパー戦、ゾンビ迎撃戦と色々あって中々楽しめた。ただ物資不足の不安があるので弾やアイテムを使い過ぎないようにチマチマ戦っている感じもある。これは行動の一つ一つに緊張感が出るように作られていると思うのだが、爽快感を得たい人にとってはストレスを感じてしまうかもしれない。ただ初級でクリアしてみると弾は余り気味だったように思うので、割とバンバン弾を打っていても大丈夫だと思う。

ストーリーはかなりシリアス。感染者の恐怖を描くことよりは滅亡寸前の世界での人間ドラマのほうがメイン。グロテスクなゾンビホラー演出はあんまり無かったような。感染者よりは絶望の中でモラルを無くした人間たちのほうが怖い。
登場人物のほとんどは殺人に対して躊躇がない。さすがに主人公たちは理由もなく殺人はしないが、敵とみなせば容赦無く殺していく。これは過酷な環境で生きるためには当然のことなんだろうけど、悪人とはいえあまりにもあっさりと人間を殺してしまうので、そういうシーンにはやっぱりちょっと引いてしまった。

主人公ジョエルは基本的には善人ではあるが、オープニングでは家族を大事にするあまり他人はどうなっても構わないみたいなシーンがあり、目的のためには冷酷なことも辞さない合理的な面もあるのがユニーク。
これは後の伏線になっていて、ラストでのジョエルのある容赦無い行動に繋がっている。客観的には理性的とは言えないエゴイスティックなジョエルの選択ではあるが、自分ならどうするかと問われればジョエルと同じ行動を取るかもしれないので、これはなかなか非難しきれる行動ではないとは思う。ただジョエルは客観的に見ればモンスターなんだよな・・・クライマックスとしては盛り上がって良かったのだが、色々と考えさせられる酷なストーリーではあった。

ストーリーで他に気になったのはハンターのデイビットが出てくるパート。ゲーム的にはエリーが一人で頑張るためのパートなんだけど、シナリオ的には性の匂いがプンプンして、そっちの意味で怖かった。実際にエリーは何かされるわけではないので暗に匂わせているだけなんだけど、あれは乙女が化物に襲われるタイプのホラー映画のオマージュなのかな。ちょっとここは意外な展開に感じた。
男性に襲われることによってエリーは女として目覚め、この後ジョエルとエリーは親子関係から恋愛関係になるのかな、なんて思ったりしたんだけど、さすがにそれは穿ち過ぎだった・・・まあそりゃそうか。

ラストシーンはなんとも言えない感情に襲われた。ほとんど救いは提示されないのだが、そこがある意味清々しい。

本編をクリアした後にエリーのDLCをやったのだが、こんな感じで本編でも各キャラクターの背景となるドラマをもう少し見たかったかなと思った。ただこれ以上エピソードを盛り込んでも、テレビドラマ的な安っぽい感じになってしまいそうではある。まあこれぐらいのボリュームでいいのかな。

ゲーム自体も楽しかったが、本編とDLCをクリアして、ストーリーや設定を振り返りながら色々と想像したり考えたりするのも楽しいゲームだった。
かなりハードな怖い展開もあるが、ファンタジーのような美しいシーンもあり、色々と飽きさせない。
雄大な自然の中や、荒れ果てた都市の中で反発したり助けあったりしながら旅をするジョエルとエリーの姿には、ゲームのテーマとは別に、普遍的な人間の営みの力強さや、人と人との絆の力が感じられ、自分には非常に好ましいものに映った。

プレイ中はそれなりに不満もあったのだが、なんだか日が経つにつれどんどん良いゲームだったと思えてくる。
続編の噂もあるようだけど出たら嬉しい。どういうシナリオになるかわからないけどまたラストシーンでもやもやさせられるんだろうなあ。